イーサリアムクラシックとは?
イーサリアムクラシックは、2016年6月「The DAO事件」とよばれるイーサリアムの盗難事件をきっかけに生まれた仮想通貨。
その成り立ちから、イーサリアムとの機能は大きく変わらないため、違いが分かりにくいものの、直近では評価が見直されつつある。
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The DAOとは?
イーサリアムクラシックについて理解する際に「The DAO事件」という出来事の説明は外せませんが、「DAO」「The DAO」という2つのキーワードはそれぞれ微妙に違う意味合いを持ちますので、まずはそこからご説明します。
簡単にいうと、「DAO」とは考え方(概念)、「The DAO」とはその考え方をもとにしたプロジェクトの名前です。
DAOとは?
DAOとは「Decentralized(分散の、非集中の)Autonomous(自主的な) Organization(組織)」の略で、日本語では「自律分散型組織」などと訳されます。
仮想通貨 ―特にビットコイン― について語るときに、この「Decentralized」という概念は大切な考え方で、かつ根本的な思想であることは、ビットコインの成り立ちをご存知の方であればご理解いただけると思います。
イーサリアムもこの「Decentralized」という考え方を踏襲して開発がスタートしています。
DAOは特定の国や管理主体に属さない組織で、その組織のルールは改ざん不可能なものとしてスマートコントラクトで規定されます。
「The DAO」とは、この「DAO」という考え方をもとに「Stock.it社」が立ち上げたプロジェクトです。
The DAOとは?
「The DAO」はベンチャーキャピタルの機能を「DAO」の概念で実現しようとしたプロジェクトで、管理主体がいない自立分散型の投資ファンド組織と言えます。
通常のベンチャーキャピタルでは、投資家から資金を集めてファンドを組成し、そのファンドの投資先は投資責任者が選定、決定しています。
当然、投資家からの意向が反映させることはあるでしょうが、投資責任者がいますので、ある意味では中央集権的な運営と言うことができます。
しかしThe DAOにおいては、The DAOが発行するトークンを投資家がイーサ(Ether)で購入し、保有するDAOトークンに応じて投資先の選定に対する議決権を持てるような仕組みになっていました。
このプロジェクトは投資家から150億円程度の資金を集めるに至り、当時のクラウドファンディング資金調達ランキングで1位のプロジェクトになりました。
The DAO事件
革新的なアイディア、そしてクラウドファンディングとしてはこれまでに類をみない資金調達を実現した「The DAO」ですが、2016年6月、事件が起こります。
The DAOのプログラムの脆弱性をつかれたハッキング事件が起こり、約60億円相当のEtherが「不正移動」されてしまったのです。
「盗まれた」と書いても差支えはないかもしれないのですが、「不正移動」とあえて書いたのは理由があります。
細かい説明は避けますが、The DAOには「Split」という機能が備わっていました。
この機能はもしThe DAOの運営に賛同しない場合、The DAOに投資した資金をThe DAOから切り離して「新しいThe DAO」を作成、資金を移動できるというもので、この機能に脆弱性があったためハッキングが起こってしまいました。
しかし「新しいThe DAO」に資金を移動すると27日間は資金が移動ができないという制約がありました。
ハッカーは「新しいThe DAO」に資金移動したものの、時間的には拘束をされてしまっていたわけです。
逆にこの「猶予期間」ともいえる時間を利用してイーサリアムのコミュニティ内ではこの事件の対策を練ることになりす。
The DAO事件に対する対応策
この事件に対して、3つの対応策がコミュニティ内で提案がされました。
(1)盗まれた(移動した)ETHを使えなくする(ソフトフォーク)
(2)そもそも「なかったこと」にする(ハードフォーク)
(3)何もしない
(1)盗まれたETHを使えなくする(ソフトフォーク)
「新しい The DAO」のアドレスを凍結して使えなくしてしまおうというものです。
しかし、移動された資金は投資家には返ってきません。
(2)そもそも「なかったこと」にする(ハードフォーク)
なかったことにするなんてできるの?と思われるかと思いますが「実質的にはできる」ということになります。
ブロックチェーンは複数の取引をブロックに詰めて、それらのブロックを1つ1つ繋げているわけですが「その事件が起こる前のブロックまで遡って」そもそもなかったことにしてしまおうというものです。
これで事件は「なかったことに」。失われたと思われた資金は「復活」、みんなハッピー。めでたしめでたし。すごいです。ゲームのリセットボタン、ポチっとな。という感じですね。
・・・・でも違和感を覚えた方、いませんか?
(3)何もしない
これは文字通り何もせず、ハッカーに資金をもっていかれるということです。
やられてしまったものはしょうがない、みんな損するけど、自己責任だよねってことでしょうか。
そんなのひどい、(1)(2)のような解決策があるのに・・・。と思われるでしょう。
さて、実際にどの提案が採用されたのでしょうか?
答えは(2)と・・・(3)です。
え?2つ?と思われたかもしれません。
そう、分裂したのです。
(2)を採用したのが、現イーサリアム
(3)を採用したのが、イーサリアムクラシック
です。
投資家の視点で考えれば、「そもそもなかったことにして」「資金が戻ってくる」という(2)が一番良いように思います。
実際、イーサリアムのコミュニティは約8割の賛成をもってこの案を採用、ハードフォークをして現イーサリアムが誕生しました。
しかし、この対応は「管理主体が存在せず(非中央集権的で)」「改ざんができない」というブロックチェーンの仕組み、そしてその思想を根本から覆すことになります。
そもそも仮想通貨はこの「改ざんができない」という仕組みがあるからこそ信用が担保されていると言っても過言ではありません。
「Decentralized」という概念も運営の根本思想にあることは先に述べた通りです。
この、ある種中央集権的なやり方に異を唱え、根本思想を大事にした一部のコミュニティによってイーサリアムクラシックが誕生します。
したがって、イーサリアムとイーサリアムクラシックはビットコインとビットコインキャッシュのように機能面での違いによる分裂はなく、より思想面の隔たりによる分裂だと言えます。
2017年8月にビットコインとビットコインキャッシュの分裂(ハードフォーク)がありました。
もともとのチェーンを踏襲しているのがビットコイン、そこから新しく分岐(フォーク)したものがビットコインキャッシュでした。イーサリアムの場合、もともとのチェーンを踏襲しているのがイーサリアムクラシックで、イーサリアムは新しく分岐したチェーンを採用しています。少し混乱しますね。
なぜ現イーサリアムのコミュニティは、本来大事にしていた思想を脇に置いてまでハードフォークに至ったのでしょうか?
「イーサリアムの本質はコインの価値にではなく、サービスプラットフォームとして考える」という考え方で見るとその真意が分かるかもしれません。
①イーサリアムはあくまでサービスプラットフォームとしての本質を守る決断を行った点。
②一部の者の恣意的な判断ではなく、あくまでコミュニティ全体の総意として決定が行われる点。イーサリアムの本質はサービスプラットフォームである
今回の議論について、イーサリアムの本質は何かという部分が非常に重要だ。たしかに、今回のハードフォークに対しての反対意見の多くは、分散化プロトコルであることや分散化社会の実現といった観点だったように思われる。
イーサリアムの本質を、コインの価値を実現するのではなく独自のブロックチェーンとスマートコントラクトを有したサービスプラットフォームであるとすれば、今回のハードフォークへの賛成もうなずけるのではないか。
イーサリアムクラシックの将来性
今までご説明してきたように、イーサリアムクラシックはThe DAO事件をきっかけに、その思想面の違いにおいてイーサリアムから分裂した仮想通貨言えます。
したがってイーサリアムとの機能面での大きな違いは現時点では少ないといえ、違いが分かりづらいという声も聞かれます。
時価総額でみれば、イーサリアムクラシックはイーサリアムの時価総額の数%程度と、その評価は低いというのが現状です。
しかし、イーサリアムとさほど機能面が変わらない中で、割安に放置されすぎているという声もありますし、最近では2017年11月にETCサミットが開催され著名人も参加するなど、その評価が見直されてきているようです。
ビットコインとビットコインキャッシュ、イーサリアムとイーサリアムクラシック、それぞれ分裂した経緯は異なりますが、仮想通貨が発展していく中でこれらの通貨がどのように発展していくのかは楽しみなところです。
イーサリアムクラシックを購入する
イーサリアムクラシックはbitFlyerやDMM Bitcoinでの取扱いがあります。
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